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ブランディングと売り上げの関係とは?効果的な戦略を実例を交えて解説

#お役立ち情報  2024.01.15

社外アイデア企画室株式会社による企業研究。今回は「商品ブランディングと売り上げの関係」をテーマにお届けします。

 

企業のブランディングは積極的に取り組んでいる会社が多いですが、商品のブランディングとなると、どうすれば良いのかわからない、といった人が多いのではないでしょうか。

 

また、ブランディングを頑張っても、どれだけ売り上げに反映されるかわからず、戦略を立てられずにいる人もいるでしょう。

 

そこで今回は、「売り上げアップにつながる商品ブランディング」を実例を交えて解説します。

 

 

商品・サービスのブランディングとは

商品・サービスのブランディングとは、その商品やサービスが持つ独自のアイデンティティやイメージを形成するプロセスのことです。これは、商品やサービスがどのように顧客に認識され、評価されるかを決定します。

 

また、ブランディングは、商品やサービスが顧客に提供する価値を強調し、独自の立ち位置を確立するための重要な要素です。

 

その商品やサービスのユニークな特徴や提供する価値を明確に伝え、顧客の心に響くストーリーやイメージを創造することで、認識や印象を形成。

 

顧客の共感を喚起し、ファン化を促進します。

 

ブランディングを行うメリット

商品のブランディングには多くのメリットがありますが、主な点として以下の3つが挙げられます。

 

①差別化と認知度の向上

ブランディングを行うことで、商品は他社の類似商品と差別化され、独自性を持つことが可能

 

また、一貫したブランディングは消費者に強い印象を与え、認知度を高めます。

 

②顧客の愛着の向上

良好なブランディングは顧客に信頼感を与え、ブランドに対する愛着を育みます。

 

信頼性が高いブランドは顧客に長期間支持され、リピーターを獲得する可能性を高めるでしょう。

 

③競争力の強化と市場シェアの拡大

強力なブランディングは競合他社との差別化を図り、市場での存在感を高めます。良いブランディング戦略は顧客を引き付け、市場シェアの拡大に効果的です。

 

売り上げを向上させる
ブランディング施策

ここで、商品ブランディングの代表的な施策を、実例を挙げて解説します。

 

ビジュアルアイデンティティで
強烈なインパクトを与える

画像引用:ニベア公式サイト

ビジュアルアイデンティティの強さでまず頭に浮かぶのはニベアではないでしょうか。

 

ダークブルーに白いNIVEAの文字は、一目で認識することができます。

 

青い缶に入ったニベアクリームは、肌を乾燥から優しく保護。この強烈なインパクトのおかげで、ニベアが展開するボディクリームやシャンプーなど、他の製品も肌や髪に優しいイメージを持つ人は多いでしょう。

 

コンセプトで
強烈なインパクトを与える

画像引用:Vermicular公式サイト

バーミキュラの鍋は、1個3万円する高級品にもかかわらず63万個を売り上げる大ヒット。このバーミキュラのコンセプトは「暮らしをかえる鍋」です。

 

鍋の性能や使い勝手も、もちろん存分にPRされていますが、それ以上にこの鍋を使った人たちの暮らしが「どう変わったか」が人々の心をつかみ売り上げ向上に寄与

 

「外食が減った」「子どもが苦手な野菜を食べてくれるようになった」「調味料を使わなくなった」など、消費者から寄せられる声が「暮らしをかえる鍋」というコンセプトをより鮮明にし、調理器具として異例の大ヒットに繋がりました。

 

価値提供で
強烈なインパクトを与える

画像引用:Starbucks Coffee Japan

スターバックスの強みを語るときに必ず出てくる言葉が「サードプレイス」です。

 

  • 単調な日常から切り離されたひととき
  • 手の届く贅沢
  • 1人で静かに落ち着けるオアシス

 

スターバックスは人々に「第3の居場所を提供すること」を、ブランディングに取り入れ顧客に価値提供を行っています。

 

これは、「人々がコーヒーショップに求めるものはコーヒーの味だけではないのでないか」という発想から生まれたアイデア。

 

「顧客にどれだけの価値を提供できるか」はブランディング成功の最重要ポイントです。

 

ブランディングを成功させるコツ

次にブランディングを成功させるために、気をつけなければいけない点について解説します。

「手にとってもらえればわかる」
は命取り

企業は自社の商品やサービスに絶対的な自身を持っているでしょう。どれほど良い商品かは手に取って貰えばわかると、どの企業も思っているはず。

 

しかし、一度手に取って貰わなければ良さを伝えられないのであれば、「手に取ってもらう努力」を企業はするべきです。

 

そこで大切になるのがブランディング。デザイン・コンセプト・価値提供などで存在感を示し、まずは人々の目に止まるようにしなければなりません。

 

いまはSNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングを利用すれば、新商品でもお金をかけずにバイラルな認知度向上を測りやすい時代です。

 

しかし、バイラルな情報は膨大な上に、玉石混交。せっかくの自社製品が情報の波に埋もれてしまわないようにするためにも、ブランディングは明確に鮮明に打ち出しましょう。

 

ターゲットが不明確では刺さらない

インパクトのあるブランディングが必要だからといって、自社商品にばかり目を向け、ターゲットが不明確では、そのブランディングは誰にも刺さりません。

 

ブランディングは常に、

  • 誰に向けたものなのか
  • どういう価値を提供したいのか

をセットで考えなければいけません。

 

またが顧客が商品に寄せる愛着を育て、ファン化することも重要です。常に刺激的な広告戦略で顧客を刺激し続けようとすると、企業は息切れしてしまうでしょう。

 

ご新規さんをリピーターに育て、常連さんに育て、ファンに育て、アンバサダーに育てるという、顧客育成のためのブランディングを継続していければ、そのブランドは長く人々に愛されるものになっていきます。

 

「見せ方」一つでも売り上げは変わる

ブランディングの施策として、「顧客に共感されるストーリーを作る」ということがよく挙げられます。これは顧客の心に直接語りかけるものなので、顧客のファン化には非常に有効。

 

しかし、自社で扱う商品すべてに、一つひとつストーリーをつけるのは難しいと感じる人も多いでしょう。そんな時には「見せ方」を変えてみるのが有効です。

 

スーパーでレイアウトを変えたら売り上げがのびたという話は、よく耳にするでしょう。

 

また、メルカリでいらなくなったものを出品している人が、写真の取り方を変えたら、高い値でも売れるようになったというのもよくある話。

 

商品は「見せ方」を変えるだけでも、印象が大きく変わり、顧客の心に変化を起こすことができます。「見せ方」もブランディングの一つと心得て、自社商品を「どう見せたいか」「どう見られたいか」を考えてみてください。

 

見せ方を変えて売り上げアップ
成功事例を紹介

画像引用:きのとや公式サイト

白い恋人やロイズの生チョコレートなど、人気スイーツが数多くある北海道で誕生し、全国で愛されている「きのとや 焼きたてチーズタルト」

 

いまや、北海道土産の定番となっている「焼きたてチーズタルト」ですが、発売開始から順調だったわけではありません。

 

それでは、どうやって人気スイーツの仲間入りを果たしたのか。その転機となったエピソードを紹介します。

 

「焼きたてチーズタルト」を手がける
北海道コンフェクトグループ

画像引用:北海道コンフェクトグループ公式サイト

 

◆長沼真太郎氏が、父親が経営する「きのとや」や、老舗菓子店「千秋庵」など数社を束ねる持ち株会社として2022年に設立。

 

◆「生ノースマン」やチーズケーキの「チーズワンダー」が有名。

 

◆長沼氏はチーズタルト、バターサンドなどで知られるBAKEの創業者でもあり、次々にヒット作を生み出す、スイーツ界の寵児のように語られることも。
好調ではなかった滑り出し

北海道コンフェクトグループの代表、長沼真太郎氏は大学卒業後、大手商社を経て、父親の経営する「きのとや」に就職。新業態「KINOTOYA 2」の立て直しを任され、店長に就任。当時の店舗は1日の売り上げが5万円という惨憺たる状況だったそうです。

 

転機は従業員アンケート

再建を目指し試行錯誤の毎日を過ごすなか、従業員に「自分だったらどの商品を買いたいか」「どの商品をお客さんにすすめたいか」というアンケートを実施。圧倒的な支持を得たのが、ショーケースの中で冷蔵状態で販売していたチーズタルトだったそうです。

 

そこで、主力をチーズタルトのみに絞り込んで、売り上げを伸ばしていこうと方針を決定しました。

 

ピンチをチャンスに

シンガポールで開かれた北海道物産展で、焼きたてのチーズタルトを出品することになった「きのとや」。

 

「焼きたて」といっても箱に詰めて販売していたので、中身が焼きたてかどうかわからない状態。当初の売れ行きは思わしくなかったそうです。

 

しかし、たまたま箱がなくなってしまったため、仕方なく焼いた鉄板ごとタルトを並べて販売することに。すると、お客さんの長い行列ができ、またたく間にタルトは売れていったそうです。

 

販売の「見せ方」に商機を感じた長沼氏は、北海道に戻ると店舗を改装。タルトを鉄板のまま出せるようにし、さらにお客様からのフィードバックをもとに商品の改良も重ねた結果、1日50個程度しか売れていなかった店舗で、1日に1500個売れるようになったそうです。

 

見せ方を変えたことで起死回生

箱に入れて陳列していたタルトを、鉄板に乗せたまま並べたことで、お客さんは商品のイメージをリアルに受け取ることができたでしょう。

また、商品の香りも売り場に広がったはず。

さらに、商品を買い求める人の列ができたことで、「きっと美味しいのでは」という印象が広まり、行列はさらに長くなることに。

実際に行ったことは「見せ方」を変えただけですが、結果的に五感の刺激につながったことが、成功のポイントと考えられます

 

「五感の刺激」を意識してみよう

共感されるストーリーで、顧客のファン化を促進するのがブランディングの定石と思われがちですが、ブランディングにおいて重要なのは「文脈」だけではありません。五感に訴えかけることも認知拡大に非常に有効です。

 

商品が食品であればもちろん「味覚」が大事ですが、人々の認知を高めるためには「視覚」も重要です。そして、実店舗の販売であれば売り場に広がる香り、「嗅覚」も購買意欲を掻き立てるでしょう。また聴覚への刺激は人の記憶に残りやすく、イメージの形成にも有効です。

 

ぜひ、ストーリーや広告によるバイラルな伝搬だけでなく、五感を刺激し感性に訴えかけるブランディングも意識してみてくださいね。

 

 

※こちらの記事は社外アイデア企画室株式会社が配信しているPodcastの内容をまとめたものです。配信は以下よりご視聴いただけます。

 

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