いまさら聞けない生成AI!ビジネスでの活用方法と事例を紹介
社外アイデア企画室株式会社による企業研究。今回は「生成AIをビジネスに活かす方法」をテーマにお届けします。
生成AIの代表といえるChatGPTはすでに多くの方が触ったことがあるでしょう。
ビジネスシーンでは、
- カスタマーサポート
- FAQの自動化
- 顧客とのコミュニケーションの改善
- マーケティング戦略の構築
- 文書の自動生成
- 翻訳、要約
など効率的な情報処理を支援するツールとして、幅広く利用されています。
しかし、まだまだ上手に使いこなせていない人が多いのも事実。
そこで今回は「今さら聞けない生成AIの基本と活用法」をお届けします。
目次
そもそも生成AIとは?
生成AIは、人工知能(AI)の一種で、自動的に
- テキスト
- 画像
- 音声
- その他のデータ
などを生成することができます。
生成AIの最も注目すべき特徴は、人間のような創造性を持ち、リアルなコンテンツを生成できること。
例えば、文章生成AIは自然な文章を作成し、画像生成AIは写真やイラストを生成することが可能です。
これにより、新しいアイデアの発見や、クリエイティブなプロジェクトの支援など、様々な分野で革新的な活用が期待されています。
生成AIの活用事例
生成AIが便利だということはわかっても、なかなか自分のビジネスに取り入れるイメージがわかないという人もいるでしょう。
そこで、具体的にどのようなシーンで活用できるかを解説します。
コンテンツ生成
生成AIは、
- ブログ記事
- ウェブサイトのコピー
- ソーシャルメディアの投稿
などのコンテンツを自動的に生成するのに活用できます。
これにより、効率的なコンテンツ作成が可能になり、マーケティングやブランディング戦略の支援が強化されます。
カスタマーサポート
生成AIを活用することで、自動応答システムやチャットボットを構築し、顧客からの問い合わせやサポート要求に迅速かつ効果的に対応可能。
顧客満足度の向上や効率的なリソース管理がはかれるでしょう。
製品開発
生成AIは、製品やサービスの開発段階で使用され、
- 市場ニーズやトレンドを分析
- 新しいアイデアやコンセプトの提案
といったことに活用できます。
これにより、市場投入前の評価やフィードバックを得ることができます。
データ分析と予測
生成AIは、大規模なデータセットからパターンや傾向を抽出し、将来のトレンド予測を行うのに役立ちます。
これにより、市場動向の把握や意思決定のサポートが可能になります。
クリエイティブプロセスの支援
生成AIは、デザイン、音楽、映像などのクリエイティブプロセスにも活用されます。
例えば、イメージ生成AIは、新しいアートワークや広告素材の作成を支援し、音楽生成AIは新しい楽曲の制作に貢献します。
生成AIを使いこなすコツ
プロンプトはどう書くの?
生成AIはユーザーの出した指示「プロンプト」にしたがって動きます。
このプロンプトがあいまいだと、望む回答は得られません。
例えば「旅行におすすめの場所は?」という質問はあいまいなので、とりあえず世界的に人気の観光地が羅列されます。
しかし、自然が多いところがいい、都市部がいい、文化的な体験をしたい、物価はどの程度がいい、何歳ぐらいの人が何人で行くなど、条件をうまく付け加えていくと、自分の望む回答に近づいていきます。
つまり生成AIを使いこなすためには、自分のプロンプトの精度を上げていかなければいけないのです。
目的を明確にしよう
まずは「何をして欲しいのか」という目的を明確にしましょう。
- 資料の要点をまとめて
- 資料からメリット抜き出し文章にして
- 書かれている条件を満たすアイデアを出して
など具体的に指示を出すと、求める回答に近づきます。
役割を与えよう
「どの立場で回答して欲しいのか」も生成AIに指示を出す際、非常に重要です。
「あなたは結婚式の主賓としてスピーチします」という役割を与えてから、スピーチ原稿の作成指示を出すのと、「あなたは花嫁の父親です」という役割で原稿を書かせるのでは、まったく違ったものが仕上がってきます。
また「〇〇について、大学生に向けて解説してください」というのと、「小学校6年生の先生になったつもりで解説してください」というのでも、出来上がりに大きな違いが出ます。
役割は回答の内容や方向性に大きく影響するので、必ず明確に設定しましょう。
場所や状況を明確にしよう
例えばパスタのレシピを提案して欲しいとき。
- 20代一人暮らしの夕食で、キッチンはあまり広くありません
- ホームパーティで8人のお客さんが来ます
といった条件によっても回答は変わります。
どのような場面で、この情報を使いたいのかという設定もしっかりと指示しましょう。
回答方法を指定しよう
どのような形で回答を得たいのかも生成AIに指示することができます。
- 200文字程度の文章で
- 箇条書き5つで
- カジュアルな表現で
- 表にまとめて
など希望の形で出力できると、得られた回答をそのまま資料に活用できるなど、仕事の効率化にもつながります。
ちなみにChatGPTに、どういうプロンプトを書いて欲しいかという質問を入力してみたところ、
「ChatGPTに指示を出す際は、簡潔で理解しやすい言葉を使い、複数の指示を一度に出す場合は分けて提示してください。
丁寧な言葉遣いや明確な目的を示すことで、より適切な回答を得ることができます。」
とのこと。みなさん「丁寧な言葉遣い」を心がけましょうね。
化粧品メーカーの開発を建設現場に
AI活用は発想の転換がカギ!
ここで一つ、AIを活用したマシンを紹介します。これは、生成AIではなくAIの活用ですが、発想の転換の仕方は、多くの企業で参考になるのではないでしょうか。
AIカメラで熱中症対策
画像引用:ポーラ化成工業
ポーラ・オルビスグループが提供する「カオカラ」は、AIカメラが熱中症リスクを判定するものです。
カメラに顔をかざすと数秒で体調を推定し、「熱中症リスクは低いです」や「上長と体調管理の声掛けを」といった結果が出ます。
化粧品メーカーが所有する膨大なデータを活用
ポーラは長年、「肌分析」を行うカメラを美容に利用。30年にわたるデータをもとに肌の深部まで診断。水分量やシミ・シワといったものを判定し、顧客の素肌管理や体調管理に役立ててきました。
この技術とデータをカオカラに活用。カメラの前に立つと、熱中症リスクを4段階で判定し、建設現場で適切な健康管理が行えるようになっています。
またカオカラを使用した作業員のデータをパソコンで一元管理。現場の安全対策を担っています。
B to CからB to Bへ
美容・化粧品はB to Cの代表的な産業ですが、カオカラのターゲットはB to B。
熱中症リスクを一番に心配するのはどこかと考え、建設現場で実証実験を実施。2024年から販売開始となります。
これまでポーラは女性を対象にした商品を展開してきましたが、建設現場は男性中心。
AI技術を駆使することで、利用対象者の性別もビジネスターゲットも華麗に横展開を遂げています。
人間の判断より正確なAIの判定
熱中症や体調はこれまで人が、経験や見た目で「大丈夫そうかな」など判断してきたという場面が多いでしょう。
しかし熱中症リスクは2010年以降、増加傾向。経験値だけでは安全を守れない状況になってきています。
また体内に蓄積された熱は本人でも気づかないうちに、危険なほど高まっていることも。こういった問題は人よりAIのほうが、正確に的確に判断できるでしょう。
AIと仲良しに
「AIが進歩すると人の仕事がなくなる」ということは広くいわれていますが、大切なのは人とAIが相互に高め合っていくこと。
人が集めたデータをAIに学習させ、適切に指示を出し、AIが人の健康を守る。
そういった「共生」が今後ますます加速するでしょう。
とくに何かを「判断する」「判定する」という場面で、AIの活躍は伸びていくと考えられます。
まだ会社でAIをどのように活用すればいいか迷っているかたは、「データを束ねて判定してもらう」といった業務から導入してみるといいかもしれません。
生成AIを活用する際の注意点
品質管理
生成AIが生成するコンテンツやデータが常に高品質とは限りません。
これは、AIの精度の問題もありますし、指示を出す人間の問題の場合もあります。
大切なのは品質を確保するために、常に検証と修正が必要と心得ること。
自動生成されたコンテンツは、時には不適切な情報や文脈を提供することがあるので、定期的な品質管理が欠かせません。
倫理と法的規制
生成AIを使用する際には、倫理的な考慮や法的な規制に十分な配慮が必要です。
文書作成や画像作成をAIに指示した場合、著作権やプライバシーなどの法的な問題に配慮し、規制に違反した部分がないか確認しましょう。
ユーザーのトレーニング
生成AIの性能を最大限に引き出すためには、使う側のトレーニングも必要です。
AIが不適切な情報を生成しないよう、まずはしっかり使いこなせるようになりましょう。
技術の限界への理解
生成AIにはまだ技術的な制約や限界が存在します。例えば、複雑な問題や抽象的な概念に対処する能力が制限されている場合があります。
そのため、AIの能力と限界を理解し、それを適切に活用することが重要です。決して万能だと思い込んで、AI任せにはしないようにしましょう。
※こちらの記事は社外アイデア企画室株式会社が配信しているPodcastの内容をまとめたものです。配信は以下よりご視聴いただけます。