LTVを最大化し解約率を下げるCRM戦略|顧客とのつながりを育てる実践メソッドを解説
「さまざまな施策を行なっているがLTVの上昇に結びつかない」
「新規顧客の獲得はできているが、3回程度の利用・購入で解約されてしまう」
「なんとか売り上げを伸ばそうと広告を打っても、あまり効果が感じられない」
こんな悩みを抱える企業に、ぜひ取り入れていただきたいのが「超優良な既存顧客への徹底的なCRM戦略」です。
VIP顧客はいわば会社の財産。売り上げの大半を占める顧客を徹底的にVIP扱いすることで、彼らは
- 会社のファンになり
- 売り上げの柱になり
- 新規開発のアイデアの源になり
- 商品・サービスを宣伝してくれる
そんな存在へと育っていってくれます。
新規開拓にばかり目を向け、思うように成果が上がらないと感じているなら、ぜひこの記事を参考に、優良顧客戦略に取り組んでみてください。
目次
なぜVIP顧客へのCRMが重要か
あなたの会社はマーケティング費の何パーセントを新規開拓に割いていますか?
多くのB to C企業が約90%を新規獲得のために使い、既存顧客へのアプローチには10%程度しか割いていません。
これはいわば「釣った魚に餌をやらない」といった状態。せっかく大量の餌を撒き魚を獲得しても、世話をしなければ水槽は濁っていき、餌をあげなければ魚は死んでしまいます。
夫婦に例えてもいいでしょう。結婚前はたくさんプレゼントもくれたし、いろいろなところへ連れて行ってくれた。それが結婚した途端、愛情表現をまったくしてくれない。これでは次第に心は離れていき、よそへ気持ちが移ってしまうというもの。
企業と顧客の関係も同じです。当初は「お試しキャンペーン」やクーポンの配布などさまざまな施策が行われますが、いざ成約するとお得なサービスはまるで無し。
定期購入しても「顧客として大事にされていない」と感じれば、顧客の目は他所へと向いていきます。
携帯電話を思い浮かべてください。新規契約時にはさまざまな特典があり、キャンペーンも大々的に宣伝されています。しかし一旦使い始めると「長年使っても、これといって得がない」と感じたことはありませんか。
この場合、顧客の心の中に「企業への愛着」が育まれないため、「ほかの会社のサービスの方が良さそう」、「新しいものを試してみよう」という簡単な動機であっさりと乗り換えられてしまうのです。
解約率の改善は必須課題
まずB to C企業にとっての重要な数字の一つが「解約率」です。解約率を5%低下できれば、利益率は25%改善するといわれています。
25%は非常にインパクトの大きな数字ですが、多くの企業が新規の獲得にばかり気を取られ、解約率の低下に対し明確な手立てが打てていません。
一般的に新規顧客の獲得は、既存顧客の維持と比べ5倍から6倍のコストがかかるといわれています。せっかくコストを投じ新規顧客を獲得しても数回の購入・利用で解約されてしまっては、また一から始めなければならないため、既存顧客を大切にすることが、いかに効率がいいかお分かりいただけるでしょう。
そこで絶対的に必要になるのが「解約されない仕組みづくり」です。
CRM戦略を正しく理解しよう
パレートの法則をご存知でしょうか。これは「売上の8割は、全体のうちの2割の顧客によって生み出されている」という考え方です。
あなたの会社の売り上げはどうでしょう。
- コンスタントに購入してくれている
- 高額商品を購入してくれている
- 長期にわたって購入してくれている
こういった上位顧客は全体の約2割といったところではないでしょうか。
ではこの2割のお客さまの名前が言えますか? お顔を思い浮かべられますか? 家族構成や趣味まで把握していますか?
LTVを高い状態で維持しながら長く生き残っている企業の多くが、優良顧客の情報をしっかりと把握しています。
この「現状の顧客をきちんと把握し、セグメントして管理すること」がCRM戦略です。ぜひ、あなたの会社の上位顧客トップ1%を書き出してみてください。
相手に良いことをすることで
ずっと一緒にいられる
『CRM』はカスタマー・リレーションシップ・マネジメントの略で、「顧客関係管理」と訳します。漢字に直すと堅苦しく感じるかもしれませんが、企業と顧客も「人と人」。
「心で繋がれる関係性」を築くことが「CRMの構築」となるのです。
CRM戦略には上記のようなメリットが挙げられます。
とくに注目したいのが7番目。優良顧客を深く知ることで、「どんなものなら『追加で』買いたいと思うのか」を容易に推測することができ、「確実に売れる商品」を開発できるようになります。
CRM構築の4つのステップ
CRM構築の具体的な方法は以下の通りです。
ステップ1
「お客さまを知る」
まずは顧客情報をしっかりとデータ化しましょう。
- これまで、いくら使ってくれているか
(LTV:顧客生涯価値) - 何回、買ってくれているか
(フリークエンシー:購入頻度) - 何人、紹介してくれているか
(リファラル:紹介数)
これらは最低限、必須となる数字ですが、いずれも把握していない企業は意外と多いもの。しかし、この数字がCRM戦略の基礎となります。
また顧客情報の整理には以下のような項目でデータを取ることが有効です。
- 初回購入日
- 最終購入日
- 購入回数
- 購入単価
- 年間顧客平均LTV
- リピート率
- 契約期間・利用期間
- 何人紹介してくれたか
上記の中でどの数字に重点を置くかは、業種や事業形態によって異なるため、自社が「なにを大切にしているか」によって決定することが必要です。サブスク型なのか、来店型なのか、商品が有形なのか無形なのかなど、自社に合わせて検討してみてください。
ステップ2
「お客さまを分類する(セグメント)」
お客さまを一括りに見るのではなく、特性ごとにセグメント分けすることで、顧客の属性が見えてきます。
まずは、利用頻度や使用金額に応じて、ライトユーザー・レギュラーユーザー・ロイヤルユーザーに分けてみましょう。
お客さまから電話を受けた際、最近、初回購入された顧客と、長期にわたり頻繁に購入してくれている顧客では対応も変わってくるでしょう。
長期顧客に対し、名前を聞いただけで「いつもありがとうございます」の一言が出てくるかどうかで、顧客の満足度は大きく変わります。
VIPにはVIP向けの、レギュラーユーザーには優良顧客に育てるための、そしてライトユーザーには初期の信頼関係構築のための応対が必要なのです。
この顧客に合わせた対応の変化を効率化するのが「顧客のセグメント」です。セグメントを見える化し、顧客にあった対応ができるようになると、CRMのミスマッチがなくなり、「顧客の離脱」を防ぐことができます。
ステップ3
トップ1%の顧客を見つける
ステップ2で作った顧客のセグメントをもとに、あなたの会社の「上位1%の顧客」を見つけてください。
そして超優良顧客(ロイヤルカスタマー)が解約してしまったら、売り上げ全体にどれだけの影響が出るかを計算してみましょう。優良顧客への適切なサービスがどれだけ大切かが、お分かりいただけると思います。
ステップ4
トップ1%の顧客を特別扱いする
サービスは顧客のステージに合った内容にすることが大切です。
- ロイヤルカスタマー
→「特別感の演出」で離脱を防止 - レギュラーカスタマー
→利用頻度向上に繋げる魅力の提供 - ライトカスタマー
→安定購入に繋げる信頼の構築
このような「サービスの段階分け」が非常に重要です。「一律キャンペーン」や「一律対応」だけで、大切な顧客を取りこぼさないよう気をつけてください。
実施例
①化粧品メーカーA社
顧客のセグメントに合わせた電話対応マニュアルを用意。また、詳細な顧客情報データを作成し、顧客からの問い合わせに対し、どの社員でも「専任担当者」のように対応。驚異的なリピート率に繋げる。
②お惣菜の定期宅配B社
CRMにより休眠顧客を発見。手書きの手紙で定期購入の復活へ。
③フィットネスジムC社
休眠顧客へハガキや電話でコンタクトを取ることで継続率をアップ。
このようにCRMは丁寧に実施することで、確実な成果が見込める実効性の高い施策なのです。
今こそ取り組みたい「RBM戦略」
RBMは社外アイデア企画室が編み出した新しいマーケティング手法で『ロイヤル・ベースド・マーケティング』の頭文字。「ロイヤルなカスタマー(超優良顧客)」を中心にしたマーケティングのことです。
まず1番優良なお客様を大切にすることで、離れられない関係を築きます。そして、「離れられない関係を築くまでの経緯」を振り返りましょう。
その経緯をもとに、新規顧客が超優良顧客になるまでのカスタマージャーニーを作り、仕組み化していきます。
優良なお客さまの
カスタマージャーニーとは
顧客がロイヤルカスタマーになるまでには、いろいろなステップがあったはずです。その経緯を把握し、カスタマージャーニーをしっかり理解することで、新規顧客を優良顧客へと育てる道筋を作ることができます。
ロイヤルカスタマーにヒアリングすれば、「どのタイミングでなにをすべきか」が見えてくるでしょう。
- 興味・関心を持つ段階
- トライアル商品に申し込む段階
- 商品を購入する段階
- 定期購入を決める段階
このように「興味から定期購入までの過程」をロイヤルカスタマーに一対一で聞き取りすることで、「顧客がどんな人でなにを求めているか」が明確になります。
多くの企業が「顧客像(ペルソナ)の設定」や、「ニーズのリサーチ」を行っていると思いますが、これを「想定」ではなく、実際にロイヤルカスタマーに聞くことで、明確化していくのがRBM。
このヒアリングを丁寧に行うことで、「興味・関心の段階ですべきことはなにか」、「購入段階で、あるべきものはなにか」が見えてきます。この道筋をもとに今後のマーケティング施策を考えます。
『CRM』構築のための2つの顧客分析法
ここでRBMの実施に有効な顧客分析法を2つ、紹介します。
1.RFM分析
- Recency(直近の購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(購入金額)
RFM分析では、この3つの指標で顧客をランク付します。
抽出すべき項目はほかにもあり、
- 初回購入日と最終購入日の間の日数
- 購入回数
- 購入単価
- 年間顧客平均『LTV』
- リピート率
- 在籍期間
も把握しましょう。
これを一年単位で毎月数値化します。例えば、2024年4月から2025年3月、2024年5月から2025年4月といった具合に「前年度から現在までの1年間」の数値を毎月、観察します。
これによりわかることは顧客の行動変化。「ロイヤルカスタマーが落ちてきている」という事象があった場合、継続的にこの数値を取っていくことで、いち早く発見することができます。
RFM分析のメリット
RFM分析のメリットは顧客のセグメントが可視化できること。それはつまり自社の現状の可視化でもあります。
優良顧客が多いのか休眠顧客が多いのかにより取るべき施策も変わりますし、限られたリソースを売り上げが見込めるグループに集中投下することもできるでしょう。
2.CPM分析
CPM分析はカスタマー・ポートフォリオ・マネジメントの略。顧客の購買行動を分析し、長期的な視点で顧客育成を行うための手法です。
抽出必要項目は
- 購入回数
- 購入金額
- 最終購入日からの経過日数
など。抽出した数字を立体的な図に落とし込み、いま、「どの顧客がどの位置にいるか」を把握します。
この図を利用することで、「ロイヤルカスタマー」を探しやすくなるでしょう。また自社にとってのロイヤルカスタマーは「いったい、いくら使ってくれている人なのか」、「どれくらいの期間、顧客でいてくれている人なのか」といった「VIP像」が見えやすくなります。
まずはRBMの第一歩、「ロイヤルカスタマーの発見」から始めてみてください。
まとめ
いまの時代のB to Cにおいて最も大切なことは「一番大切なお客さまを一番大切にし、大切にされていると感じていただくこと」。
既存顧客を大切に思っていても、伝わっていなければ意味がありません。「大切にされている実感」につながる演出が必要なのです。
また新規顧客の獲得にばかり追われていると、マーケティングが消耗戦になっていくでしょう。ぜひRBMを導入し、「新規顧客は既存顧客が連れてきてくれる」という仕組みの構築に取り組んでみてください。
RBMについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もお読みください。
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