海外ビジネス研究:フィリピン編「移住・起業・ノマド・留学、セブ島を選ぶメリットとは」
社外アイデア企画室株式会社による海外ビジネス研究。今回も2023年2月にタイのバンコクで開催されたWAOJE GVF 2023 in バンコク「Global Venture Forum」より、厳選した情報をお届けします。
紹介するのはフィリピン・セブ島。
- 親子移住
- 起業
- ノマドワーカー
それぞれの立場で、進出先にフィリピンのセブ島を選ぶメリットを解説します。
セブ島はどんなところ?
◆フィリピンの南部に位置する島で面積は東京の約2倍。東京から直行便で5時間程度で、時差は1時間です。
◆公用語はタガログ語と英語。フィリピンでは学校教育が英語で行われているため、9割のフィリピン人が英語を理解しています。
◆ビーチリゾートとして有名なセブ島ですが、セブシティはフィリピン第2の都市で、高層ビルが立ち並び、さまざまなビジネスが勢いを見せています。
親子移住:手頃な費用で子どものバイリンガル教育が可能
フィリピンで費用をおさえて子どもに英語教育を受けさせようと思ったら、ローカルの子どもたちが通う私立学校がおすすめです。
子どもの国際性やコミュニケーション能力を養うために、早くから子どもに英語教育をと考える親は年々増加していますが、日本でインターナショナルスクールに通わせるとなると、学費は年間250万〜300万円程度かかります。
これはフィリピンでも同じこと。インターナショナルスクールの学費は非常に高いです。しかしフィリピンでは現地の子ども達が通う学校も基本的に教育は英語。国語や歴史の授業以外は、現地語のタガログ語ではなく英語で行われるのが一般的です。
フィリピンには私立の学校が非常に多く、富裕層は公立ではなく私立を選ぶ傾向がありますが、学費は年間20万〜40万円程度。英語で生活しながら現地の子どもたちと触れ合い、国際感覚を身につけるには最適な環境といえるでしょう。
また、フィリピンは日本より生活コストが低い点も見逃せません。ここで大まかな1ヶ月の生活費を紹介します。
親子3人の1ヶ月の生活費
住居費:80,000〜100,000円(コンドミニアム)
食費:40,000円(日本食材を頻繁に購入するかどうかで変わります)
水道光熱費+通信費:20,000円
子どもの学費:25,000円(1人)
雑費:20,000円
合計:185,000〜205,000円
家賃はローカルの人が住むアパートを選べば抑えることができますが、安全面を考えるとコンドミニアムや敷地の入り口に守衛がいるゲーテッドエリアがよいでしょう。
スポーツジム・プールのあるコンドミニアムで生活し、子どもにバイリンガル教育を施しながら必要十分な暮らしをする、そういったことが月20万円程度で実現できるのはセブ島の大きな魅力です。
起業:人件費を抑えて若い労働者を雇うことが可能
セブ島が起業に向いているといえる一番の理由は人件費の安さです。もちろん業種にもよりますが、単純作業であれば1人月2.5万円程度で雇うことも可能。フィリピンの平均年齢は24歳なので、若く体力のある労働力の獲得が容易です。
また、セブ島では日本人を雇うことも容易であることは、特筆すべきポイントです。セブ島には英語学校がたくさんあり、数年前から英語を身につけたい日本人の間で「セブ留学」が流行っています。
留学期間を終えたあと、身につけた英語力を活かしてそのままセブ島で働きたいと考える人がたくさんいるため、求人を出すとすぐに応募が来るなど、優秀な日本人人材の獲得が容易です。
なぜセブ島には日本人向けの英語学校が多いの?
ここで、セブ島に英語学校がたくさんある理由を少し解説します。
セブ島には日本人が経営する英語学校がたくさんありますが、もともとは20年ほど前に韓国資本の英語学校ができ始めたことが、ことの起こりです。
フィリピンに英語学校を建てるメリット
- 英語話者が大勢おり、講師を雇いやすい
- 人件費が安い
- 土地も安いため寮付きの学校が建てやすい
- 生徒の滞在費も抑えられる
こういったことから次々と英語学校ができ、今では韓国系、日系、それぞれたくさんの学校があります。短期集中で英語を身につけたい学生、有給休暇を利用し短期留学したい社会人、ワーキングホリデーやバックパック旅行の事前準備として数ヶ月滞在する若者、親と子が一緒に英語を学ぶ親子留学など、生徒はさまざまです。
語学✖️BPOでゼロ円留学も
フィリピンにはBPO企業もたくさんあります。
BPOとは
BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシングの頭文字で、企業の業務プロセスを一括して外部に委託する、アウトソーシングの一種です。
BPOが活用される主な業務は経理・人事・総務・コールセンター・ヘルプデスクなど。一般的なアウトソーシングが、業務の一部を外部に委託するのに対し、BPOは「業務プロセスを一括して委託する」ことを指します。
コールセンターを例に挙げるとわかりやすいでしょう。大企業になると顧客の質問やクレームに対応するコールセンターの人員もそれなりの人数が必要です。しかし東京でオフィスを構えると家賃が高いため、家賃や人件費の安い国にあるBPO企業にコールセンター業務のすべてを委託します。
フィリピンのオフィスで日本人を雇い、日本の顧客からのお問い合わせに日本語で対応する、こういったBPOを行う企業がフィリピンにはたくさんあります。このBPO企業と語学学校が手を組んで提供するのがゼロ円留学です。
授業料や寮費は無料。午前中4時間、語学学校で授業を受けたら、午後の4時間はオフィスで仕事をするなどのスケジュールで、お金をかけずに英語を学べるのが特徴です。
とにかく英語を身につけたい、なんとなく海外に住んでみたい、そんな願いをかなえるプログラム。セブ島を気に入り、期間終了後も暮らし続けたいと考える日本人の現地就職熱はまだまだ冷めることはないでしょう。
ノマドワーカー:セブが今後、ノマドの最適地となる可能性も
ブロガー・アフィリエイター・プログラマー・インフルエンサー・webライター・webデザイナーなど、世界中を旅しながらフリーランスで仕事をする人の数はコロナ以前から増加傾向。
多くのノマドワーカーに人気なのはタイやマレーシアなど気候がよく物価の安い国です。フィリピンも気候・物価の面ではひけを取りませんが、今ひとつ人気が伸び悩んだ原因はインフラ整備の遅れが挙げられるでしょう。
高級ホテルでも時間帯によってネット回線が遅くなることがあり、通信速度が仕事の生命線となるフリーランサーには頭痛の種。また景色のよい海沿いにはコワーキングスペースがあまりなく、コワーキングスペースのある市街地は夕方の交通渋滞がひどいなど、滞在場所を決めるのにも多少の難しさがありました。
しかし、コロナ後からコワーキングスペースが増え始め、長期滞在者を意識したプランを提供する施設が多くなったことから、ノマドワーカーにとって仕事に集中しやすい環境が整いつつあります。
また、デジタルノマドビザ発給に関する法案も現在審議中。今後、タイやマレーシアに引けを取らないワーケーション体験が可能になっていくと考えられます。
セブ島起業の注意点
セブ島で起業を目指す場合、ビジネスが日本人向けなのか、ローカル向けなのかの線引きを明確にすることが大切です。
文化・歴史的背景・宗教などさまざまな面で日本と大きく違うフィリピン。またフィリピン人同士の経済格差も大きいため、ビジネスのターゲットを絞り込まないと戦略を立てるのが難しいでしょう。
さらに、せっかくセブ島を選ぶのであれば、労働者の平均年齢の低さと2050年まで続くといわれる人口ボーナスの恩恵を上手に活用するのがおすすめです。
セブ島の中心地、ITパークは経済特区で100%外国資本での起業が認められていたり、法人税の優遇が受けられたりとスタートを切りやすい環境にあります。
社外アイデア企画室株式会社では海外起業の支援も行っていますので、興味のある方はぜひご相談ください。
※こちらの記事は社外アイデア企画室株式会社が配信しているPodcastの内容をまとめたものです。配信は以下よりご視聴いただけます。